はじめに
特別展の開催にあたって
 本年は、第27回特別展として、「静岡市制110周年記念特別展 龍爪山の歴史と民俗─龍が降りた山の謎解きのすすめ─」と題して、開催することになりました。
 龍爪山は、静岡市、清水市にまたがる秀麗な姿をした山です。山の形は、2つの峰からなり、その「リュウソウ」という山名由来も、いろいろな謎に満ちています。このいつも見慣れた山から、静岡、清水市民は大きな影響を受けてきました。原始、古代の時代から現代まで、さまざまな祈りや思いをこめて、龍爪山を眺めてきたのです。「龍爪さん」も、また、人々の暮らしを見守ってきたのです。
 そこで、本特別展では、龍爪山の山岳信仰の変遷を、信仰具や民俗伝承を手掛かりにして、探ってみました。時代や社会の影響を受けて、龍爪山の信仰形態も、さまざまに形を変えてきました。山に歴史ありといいます。どうぞ、本展示を通して、龍爪山の歴史と民俗の謎解きに挑戦してみてください。龍爪山をめぐっての対話を喚起し、山と人がどう関わってきたのかの再発見につながれば、幸いです。
 本特別展の開催にあたり、大勢の方々から多大なご支援、ご助力をいただきました。ここに、そのご厚志に対し、心からお礼申し上げます。
平成11年10月1日
静岡市立登呂博物館