覚  書
1、
安永8亥年7月19日、江戸御勘定所より、御奉行所右新川願人、駿府御台所町源兵衛、同伝馬町弥次兵衛、駿州川合村弥
まか
兵衛、右3人の内1人、御差し紙到来。同月23日頃江戸へ出立。右惣代上土村伝七と申す者り下り、是は弥兵衛兄にて御座候。
 御奉行所様より、新川芝地御不用に仰せ付けられ、右につき伝右衛門惣代にて、御請書差し上げ申し候。其の文旨、江戸御屋敷より宮ケ崎御役所へ参り、写し申し候。その文に曰く、  覚え書
差し上げ申す一札の事
 駿州浅畑沼、巴川添い18ケ村入会の場所、享保13年新開仰せ付けられ候処、巴川落ち込み候長尾川の儀、土砂押し出し候につき、新開願人共、洲留め定浚い仕り候えども、連々川床高く相成り、水行差し支え、浅畑沼悪水落ち兼ね候につき、長尾村地内字「一の瀬」より、鳥坂村字「二ッ宮」まで、長さ二千間余新川掘り割り、瀬違えの儀、自普請に仕り、古川敷七町歩余、並びに長尾村、瀬名村地先、芝地六十町歩余、新開仰せつけられ、尤も鍬下7ケ年の間、冥加米三十俵ずつ差し上げ、地代金は御免成し下され、8ケ年目御検地御高請けのつもり、先達て願い奉り候につき、御普請役中差し遣わされの場所、御糺しの上、なお又御吟味遊ばされ候処、右掘り割り新開とも、差し障り御座候につき、私共願いの趣、御沙汰に及ばれざる段、仰せ渡され、承知畏れ奉り候。これに依り御制け証文差し上げ申す所件の如し。
安永8亥年8月
御 奉 行 所 様
駿府御台所町
同伝馬町
駿州川合村
右惣代
源兵衛
弥次兵衛
弥兵衛
伝右衛門
右の趣御勘定奉行松本十郎兵衛様御宅に於いて、仰せ渡され候につき、
此方様大久保玄蕃様御役人召し呼ばれ、御勘定加藤吉三郎様御列座、十郎兵衛(様)仰せ渡され、主人にも申し聞かすべき旨にて、相済み申し候。
此の如く江戸御地頭様より御書面、陣屋まで参り申し候。則ち写し取り控え置き申し候。念の為此の如くに御座候。以上。
   亥八月